30代女性に起こる更年期障害

 

近年では、生活スタイルの変化から
30代の女性でも更年期障害のような症状が現れる
若年性更年期障害(プレ更年期障害)が増えてきています。

若年性更年期障害とは、一体どのようなものなのでしょうか。
また、具体的には何が原因で起こり、
どのような対処法があるのでしょうか。

ここでは、女性の一生を通しての身体の変化と更年期のメカニズム、
若年性更年期の症状を緩和する方法についてお伝えします。

更年期について

女性は、一生の間に月経を迎える思春期、月経のある性成熟期、
月経を終える更年期、
月経を終えて以降の高齢期と、4つのライフステージを経験します。

月経を終える更年期

月経を迎える思春期から規則的だった月経周期が、不規則になり
閉経を迎えます。
人それぞれ個人差はありますが、50歳前後で閉経する人が多く
この時期を挟んだ前後約10年間(45~55歳位)を更年期といいます。

閉経は、更年期に入り卵巣の機能が次第に低下し、
最終的に月経が停止した状態をいいます。
閉経は、一年以上の無月経の確認によって判定されます。

子宮を摘出した人の場合、
FSH(卵胞刺激ホルモン)値40mlU /mL以上、E2値(エストラジオール)20pg/mL以下で閉経と診断されます。

更年期による体の変化

更年期による身体の変化の一つに、卵巣の組織の変化があります。
卵胞がなくなり排卵が停止することで、ホルモン産生が消失します。
脳の視床下部は、内分泌機能と交感神経・副交感神経機能を
総合的に調節していて、女性ホルモンのエストロゲンも、
脳の視床下部からの指令によって卵巣から分泌されます。

しかし、卵巣でホルモン産生が消失することで、
自律神経中枢に影響を及ぼし、自律神経失調症を引き起こします。
また、この年代の女性の家庭や社会環境による
心理的な要因も複雑に関わってくることによって、症状には個人差があり
様々な症状が全身に現れます。

このように、
自律神経失調症の症状と精神的な症状が相互に関係して起こる
不定愁訴を更年期障害といいます。

更年期障害の症状は

更年期障害の症状として、日本人女性に不定愁訴の訴えが多いものは
肩こりと疲れ易さです。

他にも頭痛、のぼせ、腰痛、ホットフラッシュ、不眠、イライラ、
皮膚のかゆみ、動悸、抑うつ、めまい、胃もたれなどの症状がみられます。

若年性更年期障害とは

最近では、30代後半で更年期障害にみられる症状が現れる
若年性更年期障害の女性が増えてきており、

「プレ更年期障害」ともいわれています。

若年性更年期障害の原因は

若年性更年期障害の原因として考えられるのは、
家事育児に忙しい毎日を送っていたり、責任の重い仕事を
任される世代の女性であり、
ストレスを抱え続けて自律神経のバランスを崩し易いということです。
他にも、寝不足やダイエット、喫煙、偏った食生活、過度の飲酒など
生活習慣の問題も要因の一つ
と考えらえます。

PMSと若年性更年期障害の見分け方

若年性更年期障害の症状であっても、PMSの症状と勘違いする場合が
多いようです。

しかし、若年性更年期障害の場合、生理周期と関係なく症状が現れます。
また、PMSは、更年期障害に多く現れるホットフラッシュや
のぼせなどの症状がないのが特徴です。

更年期障害(若年性更年期障害)の対策は

食生活の改善

できる限り農薬を使っていない新鮮な野菜や果物、
良質なタンパク質や脂質、発酵食品をバランスよく
食べましょう。
特に大豆発酵食品の納豆やテンペは毎日積極的に食べましょう。

糖質や乳製品はできるだけ控えます。
ジャンクフードや加工食品は、添加物などの化学物質や
遺伝子組み換えなどを身体に蓄積させ、更年期障害の症状の悪化以外にも
様々な慢性疾患の要因となりますので避けましょう。
また、パンや麺類、ビールなどに含まれる麦類のグルテンは、
腸に穴を開けるリーキーガット症候群を引き起こすことで
更年期障害の症状の悪化、慢性疾患の大きな要因になりますので
できる限り避けましょう。

適度な運動と休養

毎日の適度な運動は
気分転換やリラックス効果もあり、質の高い睡眠をとることができます。

また、毎日同じ時間に眠り、朝起きて日光を浴び、
決まった時間に一日3食摂ることで概日リズムが修正され、
不眠やうつ病の予防につながります。

就寝前のぬるめのお風呂は、入眠をスムーズにします。

メディカルハーブを利用してセルフケア

メディカルハーブは、
自律神経~内分泌系の調節によって心身相関的に働きかけ
更年期障害の症状を
緩和します。
アメリカではホルモン補充療法の代替として
メディカルハーブが試みられています。

ブラックコホシュは、体内でエストロゲンに似た作用を発揮する
フィトエストロゲンと呼ばれるもので、ホルモンバランスの調整をします。
チェストベリーは、脳下垂体に直接作用し、ホルモンの分泌を調整し
更年期障害とPMSの両方に用いられます。
ホットフラッシュには、セージのハーブティを冷まして服用します。
更年期の抑うつには、セントジョンズワートを服用します。

その他、ベルベーヌ(レモンバーベナ)、ローズ、サフランなどを用います。
動悸や息切れには、心臓へ穏やかに作用するホーソンを用います。
体力や気力の低下にはマカやストレス抵抗性を高める
アダプトゲンハーブのエゾウコギを用います。

アロマセラピーでセルフケア

香りは大脳辺縁系・視床下部に直接働きかけ、
自律神経・内分泌系のバランスを整え、更年期障害の症状を緩和します。
クラリセージやゼラニウムは、ホルモンの分泌を調整する働きと
心身の緊張をほぐす働きがあります。
その他にも、ローマンカモミールやオレンジスィート、ラベンダー、
抑うつが強い時はネロリのアロマオイルを用います。
抗不安作用を持つ沖縄月桃やローズのアロマオイルも更年期の症状に用います。

更年期の肩こりや腰痛にはクロモジのアロマオイルを
キャリアオイルで希釈してマッサージします。
しびれや神経痛にはセントジョンズワートをキャリアオイルとして用います。
自律神経失調症には、アロマオイルと自然塩でバスソルトを作り
ぬるめのお風呂に入れて入浴します。

漢方で更年期障害の症状を改善

更年期障害の不定愁訴には、漢方は非常に適した対処法で
使われる頻度が高いとされています。
漢方は、
「気・血・水」という生体エネルギーの状態を診て、
そのバランスを整えることを考えて治療します。

漢方では、頭痛や肩こりは、血の流れが滞る「お血」
めまい・不眠・耳鳴りなどは血が足りていない「血虚」、
のぼせ、ほてり、動悸などはきの流れが異常な状態の「気逆」と捉えられて
漢方薬が処方されます。

更年期障害という概念がなかった時代は、様々な不定愁訴が起こると
漢方薬が利用されてきました。
病院での更年期障害の治療として「ホルモン補充療法」が主流ですが
「ホルモン補充療法」に抵抗のある人や、
服用している薬が多い人などに漢方治療が利用される場合が多いようです。

まとめ

アロマやハーブなどの植物療法や漢方などの代替医療は、
西洋医学と病気に対する考え方やアプローチが異なります。

代替医療の治療の目的は、
身体全体のバランスの回復であるのに対して
西洋医学は症状に対する対処療法です。

それぞれの長所と短所を見極めて代替医療を取り入れることをお薦めします。

身体の不調が現れた場合、重大な病気が潜んでいる可能性もありますので、
自己判断せず必ず病院での検査を受けましょう。

メディカルハーブによる
PMSの症状の緩和術とライフスタイルの改善法について

こちらの記事でお伝えします。