コーチングの承認スキルでやる気アップ!具体例と5つのポイント

 

コーチングの「承認スキル」を効果的に使うと、コミュニケーションを円滑にし、相手の自信ややる気をアップさせることができると言われています。

「相手を承認すること」は、一見簡単そうに思えますが、実は奥が深く、適切にできていない人も多いのです。

相手の何をどのように承認すればよいのでしょうか?

この記事では、コーチ歴13年の私(田中直子)が、

  • コーチングスキルの承認とはどのようなものなのか
  • 承認の言葉の具体例
  • 承認で相手のやる気をアップさせるための注意点やポイント

などについてご紹介します。

コーチングスキル「承認」とは?

コーチングにおいて「承認」は、非常に重要な基本スキルです。

承認とは「相手の存在や行為などの事実をそのまま受け止めて伝えること」であり、「ほめ言葉」をかけて、相手を認めることではありません。

この章では、誤解の多い「承認」と「ほめる」の違いや、承認することでコーチ・クライアントのそれぞれが何を得られるのか、具体例を交えて解説します。

「承認」と「ほめる」はどう違う?

「承認」は相手の成長や変化に気付き、事実を伝えることで「あなたのことを見ていますよ」「気付いていますよ」とメッセージを送ることです。

一方「ほめる」は、主観的に評価することです。

「承認」も「ほめる」も、相手のやる気をアップさせる効果がありますが「ほめる」は使い方が適切でないと、相手のためにならない場合があります。

人は無意識に何らかの意図を持ってほめていることが多く、ほめられる側がプレッシャーを感じたり、素直に受け取りにくくなることがあるからです。

例えば、会社の売上に大きく貢献したAさんにかける言葉を考えてみましょう。

<承認>「Aさんは、プレゼンテーションスキルを上げるために毎日何時間も練習していましたね」

<ほめる>すばらしい!Aさんは全社員のお手本ですね!」

Aさんのためになるのはどちらでしょうか?

Aさんにとっては、どちらの言葉も嬉しいかもしれません。

しかし、「自分のことをいつも見てくれている」という実感が持て「これからも頑張ろう」という気持ちが自然と湧いてくるのは、上の「承認」の方ではないでしょうか。

「ほめる」の方は、伝える側に「次もがんばってほしい」、「自分に好感を持ってほしい」、あるいは「本当は嫉妬しているけれど、その気持ちを悟られたくない」などの気持ちが含まれていることがあります。

もし純粋にほめた場合であっても、Aさんの感じ方によっては、素直に受け取りづらくなってしまうのです。

ほめてはいけないということではありませんが、相手の性格やちょっとした言葉のニュアンスの違いで伝わり方が変わってしまうため、適切に伝える必要があります。

承認によって得られるもの

コーチングでは、相手との信頼関係を築くために、承認スキルを頻繁に活用します。

承認によってもたらされる気持ちの変化は、コーチングにどのように影響しているのでしょうか。

下の表で見ていきましょう。

承認されることによる気持ちの変化 コーチングへの影響
安心感が得られる 「自分れられているじることで本音ができる環境
自己肯定感が高まる 失敗に対する恐れや、他者との比較で落ち込むことが減り、チャレンジしやすくなる
モチベーションが高まる 意欲的目標達成かって努力できるため結果やすくなる

相手がコーチに対して警戒心や不信感を持っていると、コーチングは機能しません。

このため、コーチはまず相手を承認することによって、安心感を与え本音で話してもらえる状態を作る必要があるのです。

先ほどのAさんの例で考えてみましょう。

「Aさんは、プレゼンテーションスキルを上げるために毎日何時間も練習していましたね」

と、上司がAさんに伝えたとします。

上司はAさんの行為について、良いとも悪いとも言わずにただ事実を伝えているだけです。

ですが、Aさんは「自分のことをいつも見てくれていたんだ」と上司に対して好感を抱くと同時に、「自分はよくがんばったな」と認めることができ、「これからもがんばろう」とモチベーションも高まるのではないでしょうか。

承認の言葉を繰り返し伝えることで、信頼関係が深まり、承認以外のコーチングスキルも効果的に作用しやすくなります。

コーチングの「承認」は、コーチングを効果的に機能させるための土台なのです。

「承認」の種類4つと具体的な言葉の例文

コーチングスキルの「承認」とは何なのか、ご理解いただけたと思います。
しかし、実際に使うとなると相手の何をどのように承認すればよいのか、わからなくなることもあるかもしれませんね。

ここでは、「承認」の4つの種類と、それぞれの種類別で具体的な例文をご紹介します。

  1. 存在承認
  2. 行動承認
  3. 成長承認
  4. 成果承認

存在承認

存在承認は「あなたの存在を認めていますよ」というメッセージを送ることです。

例えば以下のような簡単な言葉でもよいのです。

  • 名前を呼ぶ 「田中さん!」
  • 挨拶をする 「おはようございます」
  • 変化に気付いて伝える 「今日は夏らしい服装ですね」
  • 特徴を伝える 「水色のブラウスが、田中さんの爽やかな印象を強化してますね~!」

意識していないだけで、誰でも普段から承認の言葉を使っていますよね。

上の例のうち、ひとつの言葉だけでも存在を承認したことになりますが複数重ねて伝えると、相手により一層「存在を認めてくれている」「関心を持ってくれている」という感覚を与えることができます。

ひとこと話しかける前に、相手の名前を呼ぶだけでも承認の効果は高まりますので、ぜひやってみてください。

行動承認

行動承認は、結果に関係なく「行為」を認めることです。

具体例としては以下のような言葉です。

  • 「この1か月、禁煙に努めているんだね」
  • 「マラソン大会に向けて、毎日30分のランニングを休まずがんばったね」
  • 「商品改善のために、100件の顧客調査をやりきりましたね」

行動しても、必ずよい結果につながるとは限りませんが、結果に至るまでのプロセスについては認めることができますよね。

「結果が全て」と思っている人は、行動しても成果が出ないとネガティブな感情になりがちです。

本人が素直に受け取るかどうかは別として、そういう人にこそプロセスの大切さに気付いてもらいたいため、コーチはしっかり行動承認の言葉をかけることが大切です。

成長承認

成長承認は、目標を達成したかどうかに関わらず、過去と現在を比べてどれだけ成長したかを認めることです。
少しづつでも前に進んでいると感じられると、人はやる気を維持しやすくなるため、小さな成長を探して伝えてあげるとよいでしょう。

例えば以下のような言葉になります。

  • 「この前まで1時間かかっていた作業が、最近は30分で効率よくできるようになったね」
  • 「以前は缶ビールを毎日2本飲んでいたけど、今は健康のために1本に減らせているね」
  • 「先月より成約率が20%上がりましたね」

本人が成長していると感じていなくても、言われてみればそうだと気付くこともあります。

過去と現在の数字を比べて伝えてあげると、本人も、紛れもない事実として素直に受け取りやすいのではないでしょうか。

成果承認

成果承認は「目に見える結果」について認めることです。

結果が出たことに対する承認は、わかりやすいため意識しなくてもできている場合が多いかもしれませんね。

  • 「過去最高の営業成績を出せたね!」
  • 「県大会で優勝できたね!」
  • 「自分で決めた目標が達成できたね!」

など、本人の努力によって得られた事実を承認することが大切です。

言葉だけでなく、表彰や昇給などわかりやすい形で成果承認を行うのもよいでしょう。

コーチングで相手を承認するときの5つのポイント

ここまで読んで、承認スキルや具体的な言葉かけについて理解していただけたのではないでしょうか。
あなたがこのスキルを実際に使ってコーチングを行う前に、ぜひ知っておいてほしい5つのポイントについてまとめました。

  1. 事実をそのまま伝えよう
  2. アイ(I)メッセージで伝えよう
  3. 観察して具体的に伝えよう
  4. 他人と比較せずに伝えよう
  5. 受け取り方は相手にゆだねよう

効果的に承認を行うことでやる気アップにもつながるため、ぜひ意識してみてください。

事実をそのまま伝えよう

これまでにもお伝えしましたが、承認は相手を賞賛するのではなく「客観的な事実」を伝えましょう。

「一日でここまで進むなんて、あなたは仕事が速いですね!」などとほめられると、「いえいえ、そんなことはありません」と謙遜したり、お世辞を言われたと感じる人もいます。

しかし、「10工程のうち、一日で5工程も進みましたね!」と言われると、紛れもない事実なので、本人も自分を確実に認めることができます。

アイ(I)メッセージで伝えよう

効果的に承認を行う方法として、「アイメッセージ」も有効です。

アイメッセージとは、I(私)主体のメッセージで、相手の行為に対して「自分がどう感じたのか」を伝えるコミュニケーション方法で伝わりやすくインパクトが強いことが特徴です。

例えば仕事で失敗した人に承認の言葉をかけるとき、

「(あなたは)ベストを尽くしたよね、それだけでもすばらしい」と伝えるより、「(私は)あなたの努力に感動したから、自分もがんばろうと思った」と伝える方が印象に残るのです。

人によい影響を与えているのであれば、「失敗したから努力は無駄だった」とは感じませんし「次もがんばろう」と思えるのではないでしょうか。

観察して具体的に伝えよう

具体的な言葉を使うと、より承認の効果が高まります。

「あなたの説明はとてもわかりやすかった」と言われるのと「あなたが〇〇を料理に例えて説明していた、あの部分がとてもわかりやすかった」と言われるのとでは、納得感が違いますよね。

相手の話をよく聴いていたり、観察していたりしなければ言えないような具体的な言葉で伝えると、相手は「関心を持ってくれている」「努力が認められた」と感じるため、モチベーションが高まります。

他人と比較せずに伝えよう

承認するときは、誰かと比較しないように注意しましょう。

「あの人より、あなたの方が勝っている」という伝え方をすると他人を基準に行動するようになってしまいがちだからです。

どんなに自分が努力して成長しても、上には上がいるため比較にはキリがありませんし自分に自信が持てなくなり、やる気が失せてしまう人も多いのです。

ひとりの人間の過去と現在を比べて成長を認めるのはよいことですが、他人との比較は承認の言葉に入れないようにしましょう。

受け取り方は相手にゆだねよう

承認の言葉をかけても、受け取らない人もいます。

そんな場合は、無理に押し付けずに相手の態度を尊重してあげてください。

押し付けられると、どうしても人は不快な気分になるため、心を閉ざしてしまいます。

最初から人それぞれ考え方が違うことを認識しておき、承認の言葉を受け取るかどうかは相手にゆだねましょう。

【実例】印象に残る深い承認の仕方3つ

承認スキルの応用編として、私の実際の体験をもとに、印象に残る深い承認の仕方を3つご紹介します。

伝え方や伝えるタイミングにもよりますが、それほど難しくないのに効果が非常に高いため、機会があればぜひやってみてください。

  1. 誕生日など独自情報を覚えておく
  2. 承認の言葉を重ねる
  3. リフレーミング

誕生日など独自情報を覚えておく

なんとなく話した、自分の誕生日や好きな食べものなどを、誰かがずっと覚えてくれていたとしたら、嬉しいと思いませんか?

ずいぶん昔の話ですが、学生の頃、所属していたコミュニティの仲間が、自分の誕生日にサプライズでお祝いしてくれたことがありました。

そんなに親しい間柄ではありませんでしたが、半年ほど前にたまたま誕生日と好きな食べ物の話題になったときのことを、覚えていてくれた人がいたのです。

誕生日の当日、私の好きなフルーツがたっぷり乗ったケーキを囲み、バースデーソングを歌ってくれたのですが驚きと嬉しさで忘れられない思い出になっています。

人は普通、あまり興味のないことは聞いてもすぐ忘れてしまうので、覚えてくれていると「自分の存在は尊重されている」と感じ嬉しいものです。

普段の何気ない会話で「相手独自の情報」を得たら、メモしておき、時間が経ってから「覚えていますよ」と伝えてみてください。

きっと相手の印象に残るはずです。

承認の言葉を重ねる

二章でも触れましたが、承認の言葉は、複数重ねて伝えると印象深くなります。

  • 存在承認 「田中さん!お疲れ様です」
  • 行動承認 「今日の会議では、誰も言い出せないことを田中さんが代弁してくれましたね」
  • 成果承認 「皆さん、不安が消えて仕事に集中できるようになったと言っていました。」
  • アイ(I)メッセージ
    「自分が悪者になる覚悟で発言した、田中さんの勇気に感動しました!」「私も田中さんを見習いたいと思います。」

承認の言葉を5つ重ねていますが、言葉が増えるにつれ、受け取る側の嬉しい気持ちも増すと思いませんか?

上の例は、私が会社員だった頃にある会議で発言するかどうか迷い、発言した後も「言ってよかったのだろうか」と考え込んでいたときのことです。

承認の言葉をかけてもらったことで「役に立てたなら発言してよかった」と自分を認められたので、印象に残っています。

人は本能的に承認欲求を持っているため、小さなことでも他者から承認されると嬉しいものです。
承認の言葉を複数重ねるだけなのですが、確実に人間関係を円滑にする効果があるため、普段から意識してやってみてください。

リフレーミング

リフレーミングとは、ものごとを別の視点で捉え、解釈しなおすことです。

事実には良いも悪いもなく、人の解釈によって意味付けされているだけなので、本人が否定的に捉えているようなことでも他者から見れば肯定的な事実ということはよくありますよね。

自分を取り巻く状況は何も変わらなくても、解釈が変われば人生は変わるという例をご紹介しましょう。

私は起業活動の支援をしていますが、クライアントさんに、時々こんな方がいらっしゃいます。

「会社を辞めて独立したいけれど、自分がいなくなることで上司や部下に迷惑をかけるので、申し訳なくて言い出せない」と言い、なかなか退職できないのです。

そのような方に「会社にとってなくてはならない存在になるほど、会社に貢献してきたのですね。あなたは人に迷惑をかけるのではなく、感謝され応援される存在ですよ。」と伝えると「そうか、もう十分、貢献したのか」と納得され、すんなり会社を退職されることがあります。

必要以上にものごとを否定的に解釈する人には、押し付けないよう注意しながら、別の解釈もあることを伝えてあげられるといいですね。

まとめ:コーチングの承認スキルで信頼関係とやる気を育もう!

今回はコーチングの承認スキルについてご紹介しましたが、お役に立てたでしょうか?

あなたの理解が深まり、関わる人との信頼関係や、やる気を育んでいくための一助となれば幸いです。

コミュニケーション力を高める方法や、コーチングビジネスに興味があるならば、ぜひ以下の記事も読んでみてください。

 

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